同じ著者の『神道と日本人』が面白かったので、次の本も読んでみました。
山村明義『本当はすごい神道』(宝島社、2013年)
本書は、「日本人のアイデンティティ=日本人らしさとは何か?」という主問を設定し、「それは日本の神道の中にある」と答えます。
「日本人の美意識」、「日本人の生き方」および「日本人の魂」を神道の三要素として、日本人の振る舞いや価値観に関して、神道との関連性を紹介しています。ただ、決して学術的なものでも、理論的に議論したものでもありません。
以下に、本書の「神道(日本人の精神性)の構造図」を説明していると思われる箇所を任意に抽出してみます。
○ 日本人の美意識
禊ぎは、日本人が美しく、清らかになるための伝統的な精神性だ。 本来の日本人が「きれい好き」、「清らかさを好む」のは、聖なる存在である神様は、きれいなところに宿ると日本人は考えてきたからだ。 日本人は、伝統文化を守る一方で、「新しいもの」を尊ぶ。それは、新しいものには、神聖なものが宿ると考え、「生きているうちに、生命は何度でも蘇るもの」とみなす神道の影響だ。
○ 日本人の生き方 日本人が太古の昔から日本列島に住み、その中で培ってきた思想とは、「自然神を敬い、畏れながら人々や国土を守る」という考え方だ。 日本人は自然の神々に感謝をしてから、次の自分の祈りを捧げるというのが、古代から日本人の考え方だった。 日本人には「真心」や「誠心」という精神性があり、純粋かつ誇りある精神性に基づく「凛とした生き方」を有していた。
○ 日本人の魂 日本人の魂とは、日本という固有の場所と時空間の中で、自然発生的に語り伝えられてきた伝統精神だ。 日本では、生きとし生けるものにはすべて「魂」がある、と見立てる。
○ まつり 神道の「日本人の美意識」、「日本人の生き方」、「日本人の魂」という三要素は、正しい価値観として、数万年から数千年間の長きにわたって生き残ってきた。 神道には上記3要素を繫ぎ合わせ、結びつける力となる「まつり」がある。「まつり」の中心点には、日本の「八百万の神々」が存在する。 神々と向き合う「祭り」は、家族を含めた地域の共同体、天地と自然、そして先祖という3つの構造をしっかりと支える役割を果たす。 美しい自然を残そうという強い祈り、日本が理想の国家になって欲しいという切なる願いの中心が日本の「神」であり、その振る舞いが「祭」だったわけだ。 |