稲荷誠『頭のいい子には中学受験をさせるな: 「灘」を超える、東大合格のメソッド』

小学低学年の子ども(以下「A」といいます。)について、中学受験をさせるべきか、受験させる場合はどのような受験勉強をさせるべきか、という問題を考えるにあたり、その参考にしようとして、次の本を読んでみました。

 

稲荷誠『頭のいい子には中学受験をさせるな: 「灘」を超える、東大合格のメソッド』(メディアイランド、2013年)

 

著者は、塾の経営者であり、本書に紹介する「稲荷塾方式」を実践しているようです。著者の主張は、次のようなものだと理解しました。

 稲荷塾方式とは?

・小学生の間に中学数学をやってしまって、さらに中学生の間に高校数学を終える。高校生の間

 は、数学の基礎的な知識と技術を定着させるため、使いこなせるようにするための演習を行う。

・中学受験をしないので小学生らしい生活ができ、早い段階で高校数学までの全貌が見えてしま

 うので、高校時代に大きなゆとりが生じる。

・小中学生の間は国語教育に力を注ぎ、高校生になれば、徹底した英語の訓練をすることができ

 る。

・大学受験に有利であるだけでなく、才能ある子供たちの潜在能力を最も効率よく引き出すこと

 ができる。

 

稲荷塾方式が前提としている算数・数学に関する認識

・小学校で習う算数は、その後に続く中学数学や高校数学に較べると限りなく薄い内容である。

 3年生以上の学年から始めると、大概の子はどこからスタートしても、1年以内には算数が終

 了する。

・高校数学は、数ⅠA、数ⅡB、数Ⅲの3つに分かれるが、数ⅠAだけでも中学数学全体よりも

 内容量が多い。

 

なぜ頭のいい子に中学受験をさせるべきでないのか?

・中学受験をする場合、算数を学び終えた後に本格的な演習をする。しかし、中学数学を終えた

 後に演習する方が効率的である。

・「つるかめ算」、「植木算」、「○○算」・・・のような特別な名前をつけて、方程式一本で

 解決する問題を細分化しているが、その後二度と使わないような技術に特化したところで、あ

 まり意味がない。

・異常に長い拘束時間。中学受験を目指す平均的な小学6年生の生活は、平日は1日4時間授業

 で、週4回通塾し、それに加えて土曜日は6~13時間塾で過ごす。日曜日には模擬テストな

 どがある。結果として、スポーツや芸術などの習い事との両立は難しくなる。

著者の主張には、とても興味深いものがあります。ただ、Aの問題を考えると、次のような疑問が生じてしまいます。

① 著者が議論の対象にしているのは、普通の子ではなくて、あくまでも「頭のいい子」のようであ

    るが、Aは「頭のいい子」に該当するか?

② 稲荷塾方式を実現するような学習環境を長期にわたって設定できるか?

③ 中学受験しないで、地元の公立中学・高校に進んだ場合、進学校に入学したことによるメリット

  を享受できないが、それでよいか?

④ 著者は、算数・数学の先取学習によって高校生のとき生まれる余裕によって、高校生のとき徹底

    した英語の訓練をすると主張しているようだが、逆に、英語を先取学習して、その余裕で数学を

    やるということもありうるか?英語の方が先取学習が容易ではないか?

⑤ 効率的な勉強法によって、余裕のある中学受験が実現できないか?

         

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