相続登記において、敷地のほかに、その敷地から公道に至る私道が相続の対象となっているケースがよくあります。私道は近隣者と共有になっている場合が多いようです。
相続人の中には、私道の相続について認識していない方も少なくありません。私道の相続登記が漏れないように、公図などで確認するようにしています。
今回は、一般的な私道の相続についてではなく、1筆の敷地の中にセットバック部分を含まれているケースについて、採り上げてみます。例えば、次のようなケースです。
父が死亡し、賃貸アパートを相続した。相続登記をしようと、固定資産評価証明書を請求したところ、その証明書の摘要欄に「公共の用に供する道路(地方税法第348条第2項第5号)により一部非課税」という記載がある。この証明書にある評価額に基づき、登録免許税を算出してよいか。なお、アパートの敷地の一部はセットバック部分である。 |
この事例の場合、アパートの敷地の一部がセットバックにより公衆用道路になっており、その道路部分は、固定資産税が非課税になっています。また、道路部分は分筆登記がされていません。
このようなケースにおいて、固定資産評価証明書に記載された評価額に基づき、登録免許税を算出してよいか?
否です。固定資産税は非課税だとしても、登録免許税は、非課税ではありません。課税されます。
道路部分の評価額を算出して、その額を固定資産評価証明書記載の評価額に加算し、その合計額をベースとして登録免許税を算出します(私の実務での取り扱い)。
以下に、計算例を示してみます。
固定資産評価証明書の記載(抜粋)
・台帳地目:宅地 ・台帳地積:281.81㎡ ・課税地目:宅地 ・課税地積:246.96㎡ ・価格(評価額):57,418,200円 ・摘要:公共の用に供する道路(地方税法第348条第2項第5号)により一部非課税
登録免許税の算出のベースとなる評価額を計算 1 道路部分を除く敷地の単価 57,418,200円 ÷ 246.96㎡ = 232,500円 ・・・①
2 道路部分の地積 281.81㎡ - 246.96㎡ = 34.85㎡ ・・・②
3 道路部分の評価額(公衆用道路の評価額は宅地単価に100分の30を乗じた額) ① × ② × 0.3 = 2,430,787円 ・・・③
4 対象土地全体の評価額(登録免許税を算出する際のベースとなる額) 57,418,200円 + 2,430,787円 = 59,848,987円 |