遺言の必要性

遺言を書くのが一般的になりつつあります。遺言者は、自分の亡くなった後、相続人の話し合いに任せていたのでは、自分が希望するような遺産分割が行われないのではないか、相続人の間で争いが起こるのではないかなどと心配します。

 

このような心配は、親族関係が希薄化し、価値観が多様化した現在では、当然のことかも知れません。現実にも、程度の差はあるものの、相続人間の争いが生ずるのが普通で、争いが生じないケースが稀なのではないでしょうか。

 

自分が亡くなったことが原因で、相続人間に争いが発生したり、相続人が永く不愉快な思いをするということは、不本意なことです。遺言は、そのような事態を回避する有効な手段の1つです。

 

特に遺言の必要性が高いのは、次のような方です。

 ①子供のいない夫婦

 ②再婚していて前妻に子がいる方

 ③妻の老後の生活安定のため、妻に多くの財産を相続させたい方

 ④財産を公共の役に立てたい方

 ⑤お世話になった人に財産を贈りたい方

 ⑥推定相続人がいない方

 ⑦事業を継がせたい方

遺言の流れ

遺言者は、遺された者の幸福を願って、遺言書を作成します。そして、その遺言書をひっそりと保管します。そして、あるとき、亡くなります。そこからが、遺言の執行です。この遺言執行によって、遺言内容は実現します。

 

遺言執行が適正に行われなければ、遺言書は絵に描いた餅になってしまいます。遺言書を作成しようとするときは、遺言執行が円滑に行われるように、配慮しなければなりません。

 

まずは、①遺言書作成の段階、②遺言書保管の段階、③遺言執行の段階、の3つの段階の概略を、時系列に示します。

遺言の段階 留意点
 遺言書の作成

○遺言者の心配を明確化

・遺言書を書こうとする方は、自分の死後について、何らかの心配があるものです。

・その心配を分析して、問題を明確化する必要があります。

 ①その問題は、遺言によって、解決できるか又はリスクが低減するか?

 ②その問題の解決のために、生前に行うべきことはないか?

○相続人調査

・戸籍謄本等を調査し、遺言者の推定相続人を確定します。

・推定相続人関係図を作成します。

○財産調査

・遺言者の財産を調査し、財産目録を作成します。

○遺言の内容を検討

・遺言者の問題を解決するのに適した遺言の文案を作成します。

○遺言書の方式の検討

・公正証書遺言、自筆証書遺言、公正証書遺言の何れにするか?

・各々の遺言書の形式には、一長一短がありますが、当事務所は、特別の事情がない限り、公正証書遺言をお薦めしています。

○遺言書(案)をチェック

 ①遺言者の心配は解消または軽減するか?

 ②法律に定められた形式を備えているか?

 ③予備的遺言は要らないか?

 ④祭祀承継者の定めは要らないか?

 ⑤遺言執行者は誰を指定するか?

 ⑥付言はどのように書くか?

○公正証書を作成

・公正証書遺言の場合は、公証役場に赴き、遺言公正証書を作成してもらいます。

 遺言書の保管

○遺言書の保管場所の決定

・自分で保管する、信頼できる友人に保管してもらう、貸金庫に保管するなど、遺言者が置かれた状況に応じて、いろいろな方法で保管しています。

・いずれにせよ、遺言者が死亡したときに、相続人全員が遺言書の存在を認識しなければ、遺言内容は、実現しません。

・当事務所は、遺言執行引受予諾業務の契約先については、遺言書の保管を行っています。

○定期的な点検

・定期的に遺言に関係する事項に変動がないかチェックします。

 ①遺言者の心配が変動したり、新たな心配が発生していないか?

 ②推定相続人や受遺者に変動はないか?

 ③財産に変動はないか?

・遺言書がそのままでよいか変更すべきかを検討します。

○遺言書の変更

・状況の変化により、遺言書が遺言者の問題解決に不適応になった場合は、遺言書の変更を行います。

 遺言の執行

○遺言書の検認

・遺言者が死亡した場合、自筆証書遺言や秘密証書遺言を保管していた者または発見した者は、遅滞なく家庭裁判所に対し、遺言書検認の申立てをしなければなりません。

○遺言書の開示

・公正証書遺言を保管していた者または発見した者は、相続人全員に対し遺言書を開示します。

○遺言執行者の就職

・遺言書に指定された者は、遺言執行者に就職します。ただし、遺言書に指定されていても、遺言執行者への就職を拒絶するケースがあります。

・遺言執行者がいない場合において、遺言内容の実現に遺言執行者が必要なときは、相続人等は、家庭裁判所に対し遺言執行者選任審判の申立てをします。

○相続人の調査

・遺言執行者は、戸籍謄本等を調査し、相続人関係図を作成します。

○遺言執行対象財産の調査

・遺言執行者は、遺言執行の対象財産を調査し、財産目録を作成します。

○遺言執行対象財産の管理

・遺言執行者は権利証、通帳、印鑑、現金等の引渡しを受けます。

○登記・名義変更・換価等の手続き

・遺言執行者は、遺言書に基づき、遺言執行対象財産について、登記・名義変更、換価等の手続きを行います。

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